為替デリバティブ問題対策研究会

為替デリバティブ110番

第1回:2011/03/04 10:00-17:00:今回の電話無料相談は終了致しました。
>>第1回為替デリバティブ110番開催要項
>>為替デリバティブ110番でわかった被害の実態

デリバティブ被害の実態について

石上法律事務所
弁護士 石上晴康

暗黒のデリバティブ被害の実情

  • (1) デリバティブ110番の反響
    先日のデリバティブ110番の御相談を受けた結果、銀行の甘言に乗ってデリバティブ取引に引きずりこまれて苦しんでいる会社は枚挙に暇がない程の多数にのぼることが判明しました。 その苦しみは端的に経営者の身体にあらわれています。不眠(早朝5時から為替レートを見ずにはいられないことも理由です。)、うつ病、帯状疱疹、高血圧などがそれであり、自殺を考えたことのある経営者も少なくありません(統計はないが現に自殺してしまった方もいると思われます。)。
  • (2) デリバティブ被害の共通点
    これらデリバティブ被害は見事な位の共通点があります。即ち
    • (1)平成16〜17年にディバティブ取引に引きずりこまれていること(この頃、メガバンク、地銀が軒並み大攻勢をかけていました。)。
    • (2)その引きずり込み方が極めて強引かつ狡猾であったこと(「社長、ぼくを男にして下さい。」「この取引をしてもらえないうちは銀行に帰れない。」「社長5,000万円持ってきたから自由に使って下さい。」などの言辞が乱れ飛んでいました。接待も為されていたようです。)。
    • (3)会社謄本の会社の目的欄に「輸入」「輸出」などの文字がちょっとでも出ていたら銀行の餌食になったこと(決算を1回しかやっていない本来与信枠を与えられない筈の出来たての会社でも例外ではありませんでした。)。
    • (4)デリバティブ取引(オプション取引)と一言で言っても呆れる程多くのバリエーションがあったこと(但し、毎月1回或は2ヶ月又は4ヶ月に1回など一定時期に行使価格でドルを購入する義務を負わされていることは共通です。)。
    • (5)銀行員のトークは「円安になった時に儲かる、そしてこれから必ず円安になる。チャンスです。」ということが中心であり、輸出入に伴う為替リスクのヘッジという本来のお題目は途中から背後に引込んでいったこと。
    • (6)オプション行使価格より円高になっていった場合(例えば現在のように1ドル80円近辺の如き)の損失の凄じさ(現在の円高だと殆どの企業に数千万円から数億円以上の損失が出ています。)は殆ど説明されていないこと。(顧客がそれを問うと「絶対にそんな円高になる筈はありません。協調介入が入りますから。」とわけのわからない理由で断言するケースも多かったのです。)。
    • (7)デリバティブ契約を結んだら最後、期間内(多くは5年ないし6年)の解約は許されないこと(当初の1〜2年は円安のおかげで利益が出ても銀行の承諾がないとやめることはできません。勝ち逃げは許さないよということです。)。
    • (8)円安がある程度以上進行するとそこで取引が終了するという「ノックアウト条項」がついているなど圧倒的に銀行が有利な約定になっていること(一定以上の円高になるとドル購入義務額が倍になるレバレッジ条項もその一つです。いわゆる泣きっ面にハチです。)。
  • (3) 銀行に刃向えない理由
    これらのリスクについてのろくな説明も理解させられることもなしに契約を結ばされ、こんなにひどい目に遭っている顧客が何故銀行に抗議をしないのでしょうか、何故戦わないのでしょうか。
    答えはただ一つ「銀行に逆らうと怖い」からです。即ち銀行に逆らって「もうデリバティブはやめます。もうドルも買いません。」と言ってその通り実行したら最後、銀行から見るとそれは債務不履行(デフォルト)だから、
    • (1)では担保権を実行して自宅を競売させて頂きます。
    • (2)手形貸付を受けている場合それまで何度も書き換えを認めてきたのに、「ロールオーバーは出来ません。期日に全額御支払下さい。」
    • (3)「普通預金のお口座に入金されたお取引のお金は相殺させて頂きます。」(ひどい場合には当座預金に入っている手形決済資金を相殺することも銀行はやります。これをやられたら手形は当然不渡りになります。)
    • (4)「新規の御融資なんか出来る筈ないでしょう。勿論L/Cの枠も出せません。」
    などと銀行は紳士の仮面を脱ぎ捨ててシャイロックの素顔を見せるのです。
    デリバティブ契約を結んだ顧客にしても、実情は「何だか良くわからないし、うさんくさいな。大丈夫なんだろうか。ま、でも銀行さんの言うことだからそんな変なことにはならないだろう。これだけ熱心に勧誘して下さるのに断ったら後が怖い。ここは一つつき合っておこう。」という程度の気持ちでデリバティブの泥沼に足を踏み入れた人が大半でしょう。即ち根幹には銀行に対する信頼及び恐怖があるのです。しかしこのような銀行の手口は、ことデリバティブに限らず昔からありました。
    バブル期には何千万円もするゴルフ会員権の購入を銀行が勧め、その代金相当分を融資するという仕組みにより、強引にゴルフ会員権を買わせるタイアップローンが横行していました。「5,000万円も返せないよ。」と言うと銀行は、「大丈夫です。半年後には1億になりますから。そうしたら売却して儲けて下さい。私を男にして下さいよ。」と言われて、その気になって(断ると怖いから)融資を受けて購入したゴルフ会員権がみるみる暴落して10万円になってしまったという悲劇は珍しくありませんでした。デリバティブ取引の場合と基本的構造は全く変わりません。
    最近でも証券との垣根が低くなって投資商品の販売が出来るようになった為に、投資ファンドの購入を執拗に勧めることも多くなりました。ファンドの場合なら単発取引なのでデリバティブ程の怖ろしさはありません。
  • (4) ではどうすれば助かるのか。
    このままでは1年後には倒産必至という会社も少なくないと思われます。何も手を打たなければ座して死を待つだけということになるわけです。 被害状況は会社によって千差万別ですから(デリバティブの取引額の大小、レバレッジがついているか、後何年残っているか、本業の景気はどうか、担保を取られているか否か、プロパーの借り入れはどの位あるか、手形を発行しているか等々)こうすれば良いとは一概には言えません。病気と同様、 問診 → 診断 → 処方或は手術 というプロセスを経る必要があります。一刻も早く相談して頂けたらと思います。